憲法書き方質問

違憲主張が2本ある場合。

『第1  設問1
1.原告の違憲主張①
2.原告の違憲主張②
第2  設問2
1 (1)違憲主張①に対する被告反論
(2)違憲主張①に対する私見
2(1)違憲主張②に対する被告反論
(2)違憲主張②に対する私見』

という構成が大半やと思います。

『第1 設問1 違憲主張①について
第2 設問2 違憲主張①について
1  被告
2  私見
第3  設問1  違憲主張②について
第4  設問2 違憲主張②について
1  被告
2  反論』

今回の模試は条例の違憲主張が2本あったんで後者の書き方をしたんですが、問題ないでしょうか?

平成28年 憲法 新司

『第1 [設問1]
1 位置情報の継続監視について
(1)  Aの主張の概要
性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者に対する継続監視に関する法律(以下法)21条は法14条の継続監視の決定を受けた監視対象者(法2条1項)に位置情報発信装置を体内に埋設する手術を義務づけている。この規定はAのような性犯罪者の自己の位置情報を国家に収集されない権利を不当に制約するもので憲法(以下略)13条に反し違憲・無効である。
(2)  権利性
13条は幸福追求権を保障しているところ、人格的生存に不可欠な権利は幸福追求権の一内容として保障される。そして、人格的生存に不可欠な権利とは、自己が人間らしく生きるために必要な権利をいう。
自己の位置情報を国家に収集されると、自己の行動が常に監視されていると考えることにより行動に萎縮的効果が生じ、自由な行動ができなくなってしまい、人間らしく生きることができなくなってしまう。したがって、自己の位置情報を国家に収集されない権利は人格的生存権に不可欠なものといえ幸福追求権の一内容として13条によって保障されている。
(3)  権利の侵害性
法21条は監視対象者に位置情報発信装置を体内に埋設する手術を義務づけ、法31条は法21条第1項の規定に違反して位置情報発信装置を体内に埋設する手術を受けなかった者(法31条第1号)、法21条第2項の規定に違反して位置情報発信装置を除去し又は破壊した者(法31条第2号)は刑罰に処せられるとされている。
このように法は性犯罪者が法14条において継続監視を行う旨の決定を受ければ、位置情報発信装置を体内に埋設することを強制し、警察に位置情報を把握されることを強制している。
したがって、法21条はAのような性犯罪者の自己の位置情報を国家に収集されない権利を制約している。
(4)  合憲性判定基準
前述のとおり自己の位置情報を国家に収集されれば、その行動に萎縮的効果が生じ、自由な行動ができなくなる。自由な行動ができないということは22条1項で保障されている移転の自由の制約にもつながる。また、人が特定の場所に行ったということから、その人がどのような思想を有しているかをある程度推測できるので、位置情報を国家に収集されることは思想良心の自由(19条)の制約にもつながる。更に、人の表現活動には行動を伴い特定の場所で行うことが重要であるものが存在するところ、位置情報を収集されることによりこのような表現活動に萎縮的効果が生じ21条1項で保障されている表現の自由の制約にもつながる。このような意味において、自己の位置情報を収集されない権利は重要な権利である。
加えて、法22条は監視対象者を継続監視することにより犯罪の予防を目的とするものであり、具体的危険が認識できない段階で個人の人権を制約することの合憲性は慎重に判断されなければならない。
他方、性犯罪被害を予防するためにどのような方法が有効かについて専門技術的な判断を要するから、国会に立法裁量が認められる。
したがって、自己の位置情報を国家に収集されない権利を制約する立法の合憲性は厳格な合理性の基準によって審査されなければならない。具体的には目的が重要で、手段が目的達成のために実質的関連性がある場合に限り合憲となる。
(5)  合憲性判定基準の適用
ア 目的
政府の統計によれば、性犯罪の再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではないので、性犯罪に限って継続監視を行うことは正当化されない。したがって、性犯罪者の再犯を防止し性犯罪被害を予防するという目的は重要とはいえない。
イ 手段
警察が監視対象者の位置情報を把握できたとしても、監視対象者がその場所で何をしているかまでは分からないから、位置情報から性犯罪やその準備を行っているかの判断をすることは困難である。したがって、警察が監視対象者の位置情報を収集することは、性犯罪予防につながらず、手段として合理性を欠いている。
また、性犯罪発生の危険性が一般的に高いと認められる区域での警ら活動を強化することにより性犯罪の予防は可能である。仮に警ら活動強化によっても性犯罪予防に不十分だとしても、性犯罪発生の危険性が高い区域のみ監視対象者の位置情報を警察が認識できれば犯罪予防は可能である。更に、GPSの体内への埋設は医学的見地から問題がないとしても、体内への異物を侵入させることは精神的苦痛を伴うことから、法律案の作成過程で検討されていたブレスレット型GPSの義務付けとの選択を認めるべきである。加えて、法14条は継続監視の期間を20年以内と長期の期間を設定しており、再犯のリスクがなくなった者に対して継続監視を解除する制度もなく、監視対象者の制約は不必要に過大である。したがって、GPS装置を体内に埋設し継続監視を行うという手段は必要性がない。
よって、上記手段は実質的関連性がない。
ウ 以上より法21条は13条に反し違憲・無効である。
2 特定区域への立入禁止命令について
(1)  Aの主張の概要
法24条1項が公安委員会が監視対象者に対し特定禁止区域に立ち入ってはならないことを命ずることができると規定し、法31条3号がこの特定禁止命令に違反して特定禁止区域に立ち入った者を刑罰に処すこととしているのは、Aのような性犯罪者の移転の自由を不当に制約するもので22条1項に反し違憲・無効である。
(2)  合憲性判定基準
22条1項は移転の自由を保障している。そして、移転の自由は、経済活動を自由に行うことを担保するだけでなく、自らの望む場所で宗教活動を行うことや表現活動を行うことなど、精神的自由に関する側面も有する。
また、法24条1項は特定禁止区域には一切立ち入ってはならないと公安委員会が命令することができると規定し、法31条3号がこの命令に違反した者に対して刑罰を科すことを規定している。刑罰は行動そのものを禁止するもので規制の態様は強い。したがって、法24条1項、法31条3号は強度な制約といえる。
更に、規制目的は性犯罪の予防であり、具体的危険が発生する前の段階での人権制約の合憲性は慎重に判断されなければならない。
他方、性犯罪被害を予防するためにどのような方法が有効かについて専門技術的な判断を有するから、国会に立法裁量が認められる。
したがって、法24条1項の合憲性の判断は厳格な合理性の基準によって審査されなければならない。具体的には目的が重要で、手段と目的との間に実質的関連性がある場合に限り合憲となる。
(3)合憲性判定基準の適用
ア 目的
目的が重要でないことは第1、1(5)アで述べたことと同様である。
イ 手段
一般的危険区域とは法3条1号2号の区域のうち都道府県知事によって指定された区域をいう。そして、特定危険区域とは一般的禁止区域のうち警察本部長等が指定した区域をいう(法23条1項)。このように特定禁止区域とは児童や女性が多くいる区域なので、そこに立ち入ることを禁止することは確かに性犯罪予防につながる。したがって、法24条1項は目的達成のために合理性があるといえる。
しかし、特定禁止区域は警察本部長の裁量によって指定されるので(法23条)、その範囲は無限定に広がりかねない。また、特定禁止区域で性犯罪を予防するためには、指定された区域において警察のパトロールを強化するという方法によっても目的達成が可能である。更に、監視対象者が特定禁止区域に立ち入った位置情報を警察が把握することにより、監視対象者が不自然にその場にとどまった場合に警察が現場に急行することによっても性犯罪の発生を予防することは可能である。したがって、特定禁止区域への立ち入りを禁止するという方法は必要性がない。
よって、上記手段は目的達成のために実質的関連性がない。
ウ 以上より、法24条1項は22条1項に反し違憲・無効である。
第2 [設問2] 検察官の反論
1 位置情報の継続監視について
(1)目的
確かに、性犯罪の再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではないが、特定の性的衝動に対する抑制が適正に機能しにくい者が存在し、このような者の再犯のリスクは高く、継続監視の対象として再犯を防止する必要性と合理性が認められる。したがって、性犯罪者の再犯を防止し性犯罪被害を予防するという目的は重要である。
(2)手段
位置情報から何をしているかまでは分からないが、警察署の大型モニターでは監視対象者の現在地が表示されるとともに、同人の前科等の参考情報が表示される。そして、心理学の専門家の所見によれば、一定の類型の性犯罪者は同種の性犯罪を繰り返すおそれが大きいとされているので、監視対象者の現在地と前科から、監視対象者がその場所で性犯罪やその準備を行っている可能性があることを判断することは可能である。したがって、性犯罪者の位置情報の収集は目的達成のために合理性がある。
また、警ら活動を強化したとしても、監視対象者の位置が分からなければ監視対象者の不自然な行動を警察は認識することができないのだから、性犯罪を予防することに限界がある。更に、ブレスレット型GPSの装着による外部認識からの社会的差別という弊害は、GPSを体内に埋設することによる精神的苦痛よりも大きいといえ、両者の選択制はより制限的でない手段とはいえない。したがって、GPSの体内埋設という手段は目的達成との間に実質的関連性がある。
2 特定区域への立入禁止命令について
(1)  違憲主張適格
現時点は、検察官が地方裁判所に対し、Aに対して継続監視を行う旨の決定をすることを申し立てた段階であるので、Aが立入禁止命令をされる危険性は具体化していない。付随的違憲審査制のもとでは、自己に関係のない主張をすることはできないので、Aは法24条1項が違憲・無効であることを主張できない。
(2)  手段の実質的関連性
特定禁止区域の警察のパトロールを強化するという方法によっても、特定禁止区域に立ち入った監視対象者の突発的な行動による性犯罪まで予防することができない。したがって、特定禁止区域において性犯罪を予防するためには、性犯罪者がその区域に立ち入ること自体を禁止するしか方法がない。
よって、目的と手段の間に実質的関連性がある。
第3 [設問2] 私見
1 位置情報の継続監視について
(1) 目的
検察官の反論の通り、性犯罪の再犯率が特に高いと認められた者に限って再犯の防止をする必要性と合理性が認められる。また、20※※年5月連続して発生した2つの事件により性犯罪者に対する再犯防止に社会の関心が集まっている。更に、性犯罪被害の被害者は回復困難な精神的傷害を負うので、性犯罪の未然の防止が求められる。これらのことからすれば、性犯罪者の再犯を防止し性犯罪被害を予防するという目的は重要である。
(2) 手段
A主張のとおり、位置情報の取得だけではその者がそこで何をしているかを把握することはできないが、検察官の反論で述べられているように監視対象者の前科から行動を予測することが可能であることに加え、女性が多い場所や学校など監視対象者が行く必要がない場所にいる場合などには性犯罪の発生可能が高いと判断することが可能である。したがって、GPSの体内への埋設という手段は合理性がある。
しかし、ブレスレット型GPSの装着による外部認識からの社会的差別の可能性という弊害と、GPSの体内への埋設による精神的苦痛のどちらが大きいかの判断は個人の価値観による。また、ブレスレット型GPSは取り外しが不可能であるからGPSを体内へ埋設することと同様の効果があるといえ、前者の方法は後者の方法の代替手段になりうる。したがって、両者の選択制はより制限的でない手段といえ、GPSを体内へ埋設する方法は必要性がない。
よって、目的達成と手段との間に実質的関連性がない。
以上より法21条は13条に反し違憲である。
2 特定区域への立入禁止命令について
(1)  違憲主張適格
自己に被る不利益が現実化していなくても、利害関係を有することが明らかな場合はこれを理由として違憲主張することができる。
立入禁止命令は公安委員会の裁量に委ねられているので、継続監視決定がなされれば立入禁止命令がいつ出されてもおかしくない状態となる。したがって、Aはいまだ継続監視決定が出される前の状態であるが、立入禁止命令についても利害関係を有していることが明らかといえるので、これを理由として違憲主張することができる。
(2)手段の実質的関連性
犯罪心理学の専門家によると、特定の性的衝動に対する抑制が適正に機能しにくい者が存在することが知られている。このような者の突発的な行動からの性犯罪を予防する必要性がある。しかし、Aが主張する特定禁止区域においてパトロールを強化するという方法では、仮に監視対象者が突発的な行動により性犯罪を行ったという情報を得て、警察が現場に駆け付けたとしてもそれでは遅すぎる場合がありうる。したがって、特定禁止区域における性犯罪の予防という目的を達成するためには、監視対象者の特定禁止区域に対する立ち入りを禁止するしか方法がない。
以上より法24条1項は目的達成のために実質的関連性がある。
したがって、法24条1項は合憲である。
以上』
皆様のご指導お待ちしております。

憲法見えてきた

下記の答案、先生にいい感じの評価いただきました。

平成21年憲法設問1 平成25年憲法デモ行進の不許可処分
やっと、憲法の大枠つかめてきました。
後は重要フレーズをひたすらゴリラ暗記。

平成26年憲法 新司 2回目

「原告、被告、私見で審査基準を変えるな。採点実感で指摘されている。
原告で立てた判例ベースの審査基準で、あてはめ段階で被告と私見の議論を展開すればよい。
配点割合が明記されていない限りトータルでの評価だから原告部分の割合が多くなってもよい。過去1年だけ配点割合が明記されたが、それで出題者が失敗したと考えて明記しない方法に戻したと考えられる。」
↑との先生のアドバイスを受けて書き直しました。
皆様のご指摘お待ちしております。
『1 [設問1]
1 本条例4条各号の定める運行許可基準はCのような新規参入を計画するタクシー事業者の職業選択の自由を不当に制限し憲法(22条1項)に反し違憲である。
2 22条1項は「職業選択の自由」を保障している。
3 本条例4条各号の定める運行許可基準を満たさなければCのようなタクシー事業者は自然保護地域でのタクシー運送ができない。そして、B市のタクシー事業者にとっては、B駅と自然保護地域との間の運行が大きな収入源となっているので、自然保護地域でのタクシー運行ができなければ、B市内でタクシー事業を営むことができないことを意味する。したがって、本条例4条はCのような新規参入事業者がB市内でタクシー事業を営業すること自体を制限する規定であり、職業選択の自由を不当に制限している。
4 職業選択の自由に対する規制が許されるか否かは、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討しこれらを比較考量したうえで決定する。
本条例4条は許可制を採用している。許可制は職業選択の自由に対する事前規制であり、届出制や刑罰での規制といった事後規制と比べ、職業選択の自由に対する強度な制限といえる。他方、特定の地域に関してではあるが、参入規制等を強化する法律が制定されており国レベルで参入規制が進んでいること、タクシー事業に関する許可権限が国土交通大臣から各都道府県知事に移譲されていることから、知事に広い条例制定裁量が認められているといえる。これらのことと、本条例4条各号の許可基準の目的等を検討して、各許可基準が職業選択の自由を不当に制限するか否かについての審査基準を決定する。
5 (1)本条例4条1号(以下車種要件)について
ア 本条例4条1号がタクシーの車種が電気自動車であることを要件として求めている目的は「自然保護地域の豊かな自然を保護する」(本条例1条)ことにある。自然保護目的は人の生命身体の保護という消極目的以外の政策目的といえるので積極目的といえる。また、電気自動車は高額であるが、購入不可能とまではいえないので、本人の努力ではいかんともしがたい客観要件とはいえない。以上のことを総合すると、本条例4条1号の合憲性は緩やかに審査される。具体的には目的が正当で、手段と目的の間に合理的関連性がある場合に限り合憲となる。
イ (ア)本条例の制定にあたっては、A県に本社のあるD自動車会社だけが車種に関する要件を満たす電気自動車を製造・販売していることが考慮されている。そして、B市に営業所を構えるタクシー会社の多くは、本条例の要求する車種要件を満たす電気自動車をすでにD自動車会社から購入している。このように、車種要件が定められた真実の目的はD自動車会社を不当に優遇することにあり、B市の既存のタクシー会社を市外のタクシー会社の新規参入による不当競争から保護することにある。
このような目的はC社のような新規参入業者の職業選択の自由を害してまで重視すべきものではないので、その目的は正当とはいえない。
仮に、真実の目的が自然保護にあるとすれば、湖周辺では車の排気ガスによる原生林の損傷や、心ない観光客の行為で湖が汚れ、透明度が低下するといった問題が深刻化しているので、その目的は正当といえる。
(イ)電気自動車は高額であることから、C社のように低運賃事業を計画しているタクシー事業者にとって、この購入を強制することは実質的に営業を不可能にする。電気自動車でなくてもハイブリッド車であれば排気ガスの排出量は少ないから、ハイブリッド車でも自然保護目的を達成することができる。したがって、手段と目的の間に合理的関連性がない。
(ウ)よって、本条例4条1号は違憲である。
(2)本条例4条2号(以下営業所要件)について
ア 本条例4条2号(以下営業所要件)によってC社のような新規参入業者にとっては、5年間は自然保護地域への運行ができないことになり、客観要件といえる。また、営業所要件の目的は「タクシーによる輸送の安全」(本条例1条)という消極目的といえる。以上のことを総合すると、営業所要件の合憲性は厳格な合理性の基準によって審査すべきである。具体的には目的が重要で、手段と目的との間に実質的関連性がある場合に限り合憲となる。
イ(ア)C社の新規参入の動きに対し、B市のタクシー事業者の団体がC社の新規参入阻止を訴えて反対集会を開くなどの反対運動を行うとともに、A県やB市に適切な対応を採るように求めている。このような事情のもとで本件条例は制定されているので、営業所要件の真実の目的はB市外からの新規参入事業者からB市のタクシー事業者を保護することにある。このような目的はC社のような新規参入事業者の職業選択の自由を制限してまで達成すべきものではないので、重要であるとはいえない。
仮に、真実の目的がタクシーによる輸送の安全にあるとすれば、その目的は重要である。
(イ)営業所要件を満たせば、タクシーによる輸送の安全の目的を果たせるとはいえない。したがって、目的と手段の間に実質的関連性はない。
(ウ)以上より、営業所要件は違憲である。
(3)本条例4条3号(以下運転者要件)について
ア 試験に合格すること(本条例4条3号イ)、交通事故を起こしたことがなく、かつ道路の交通に関する法令に違反したことがないこと(本条例4条3号ハ)は本人の努力で達成可能といえるので、主観的要件である。また、10年以上B市で継続して運転者として働いている運転者を、新規参入事業者は既存業者から引き抜いて自社で雇用することができるので、本条例4条3号ロの要件も主観的要件といえる。
そして、運転者要件の目的は「タクシーによる輸送の安全を確保」(本条例1条)することと、「観光客のより一層の安全・安心に配慮して観光振興図る」ことにある。もっとも、観光振興は観光客の安全安心が大前提であるから、主たる目的は前者であり、後者は副次的な目的にすぎない。タクシーによる輸送の安全を確保するという目的は人の生命身体の安全を保護するという消極的目的である。
以上を総合すると運転者要件の合憲性は厳格な合理性の基準で判断すべきである。
イ(ア)タクシーの輸送の安全を確保するという目的は確かに重要である。
(イ) B市が実施する試験に合格していれば、自然保護地域の道路の状況を熟知しているといえるので、本条例4条3号イは目的との間に実質的関連性がある。
しかし、本条例4条3号ロは「10年以上継続」していることを要件としているが、この長期の期間を要件とすることを裏付ける立法事実はない。また、タクシー業界は運転者の入れ替わりが激しい業界であるから、10年以上継続して雇用されている運転者は少数であることを考えると、新規参入業者が新たにこれらの者を雇用することは不可能に近い。
したがって、本条例4条3号ロの要件は、新規参入業者にとって過度の制約であるから、目的との間に実質的関連性はない。
更に、本条例4号3号ハの要件も「10年以内」という期間を設定しているが、10年という長期間を必要とする立法事実もない。したげって、本条例4条3号ハ要件も目的との間に実質的関連性がない。
6 以上より本条例4条各号は新規参入業者の職業選択の自由を不当に制約し違憲である。
第2 [設問2]
1 車種要件について
(1)  車種要件を定めた真実の目的が、B市の既存タクシー業者の保護であったとしても、その目的はB市の政策目的といえるので、積極目的に該当するから、知事に広範な裁量が認められることになり、緩やかに審査されることになる、との被告の反論が考えられる。
(2) 条例の目的は、まずは条例自体によって確定すべきであり条例自体によって確定できない場合に限り立法事実をふまえて決定する。本条例は1条によって、目的が明記されているので、車種要件の目的は明らかに自然保護目的である。
そして、原生林の損傷は排気ガスが原因であることは明らかである。ハイブリッド車は排気ガスの量を減少させることはできるがゼロにはできないので、原生林の損傷を食い止めるためには電気自動車である必要がある。また、自然保護地域でタクシー事業が成立するのは、観光客が豊かな自然を満喫することが前提であるので、利益を得ようとするタクシー事業者が自然保護のために多少の負担をするのは当然であるといえる。
したがって、電気自動車を購入するという車種要件は目的と手段の間に合理的関連性があるといえる。
よって、車種要件は合憲である。
2 営業所要件について
(1)営業所要件の真実の目的がB市の既存業者の保護であれば、それは積極目的であるので、営業所要件の合憲性は緩やかに審査されるべきであるという被告の反論が考えられる。
(2)前述した通り、条例の目的は条例自体によって決定されるべきなので、営業所要件の目的は「タクシーによる輸送の安全」である。
しかしながら、B市で長期間営業所を有していれば、その事業者はB市内のタクシー営業に精通しており、自然保護地域での事故発生の可能性が小さいという因果関係は単なる観念上の想定にすぎない。したがって、目的と手段の間に実質的関連性があるとはいえない。
以上より、営業所要件は違憲である。
3 運転者要件について
(1)「10年」という要件を設ける立法事実は存在するという被告の反論が考えられる。
(2)自然保護地域内の道路のほとんどは道幅が狭く、片方が崖で曲がりくねっており、人身事故や車同視の接触事故など交通事故が多く発生してところ、そのほとんどはこの道路に不慣れな自家用車と観光バスによるものであった。このような事実からすれば、事故の発生を防ぐためには、この道路の運転に精通した運転者のみの運転を認めるしか方法がないといえる。そして、上記のような運転技術の要する道路を安全に運転するためには最低でも10年B市内で運転していることを必要とすることにも合理性がある。また、長期間無事故無違反のドライバーは安全運転を期待でき事故を発生させないという推測ができるので、10年以内無事故無違反であるという要件も合理性があるといえる。
したがって、目的と運転者要件の間に実質的関連性があるといえる。
よって、運転者要件は合憲である。
4 以上より、違憲である営業所要件を適用してなされたCに対する不許可処分は違憲違法である。
以上』

平成21年憲法設問1 平成25年憲法デモ行進の不許可処分

皆様のおかげで、文面審査と実体審査(目的手段審査)の違い、法令違憲と適用違憲の違いが分かってきました。
両方とも適用違憲の第2類型に絞って検討しました。
大幅に書きなおしましたので、再度ご指摘よろしくお願いします。
「原告で合憲限定して適用違憲。被告で合憲限定解釈すべきでないと反論。私見で、原告主張どおり合憲限定解釈するが、事実のあてはめで適法」という構成を合格者におススメされました。
これだと原告、被告、私見の割合が6対1対3ぐらいになってしまうんですが、私見の割合が少なくなってしまうのは危険でしょうか?
平成21年設問1
『第1、設問1
1 Xの主張(本件中止命令の違憲性)
(1)Y県立大学医学部「審査員会規則」(以下、「規則」)8条の合憲限定解釈が可能であるにもかかわらず、Y県立大学医学部長(以下医学部長)は合憲的適用の場合に限定する解釈を行わず、Xの学問の自由(憲法(以下、略)23条)を不当に制限する形で違憲的に適用した本件中止命令は違憲である。
(2)23条は学問の自由を保障しているが、学問研究の自由も23条によって保障されている。そして、Xは学問研究の自由の一環として、遺伝子治療に関する研究を行う自由を有している。
(3)現在多数の遺伝子疾患が知られており、また高血圧などの生活習慣病や癌、そして神経難病なども遺伝子の影響を受けることが解明されつつある。このように遺伝子治療に関する研究は難病の治癒のための新たな可能性を発見するためのものであり、人類の医学の進歩にとって必要不可欠なものである。したがって、遺伝子治療の研究は重要であるからその研究の自由は厚く保護されるべきである。もっとも、遺伝子治療等の先端科学技術研究においては、被験者の生命や身体に取り返しのつかない害悪を生じさせる危険性が高い。そこで、遺伝子治療研究の自由に対する制限は必要かつ合理的なものである場合に限り許される。そして、必要かつ合理的なものとして肯認されるかどうかは、基本的には、基本的人権としての遺伝子治療研究の自由の重要性と、遺伝子治療研究が行われることによって侵害されることのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して決せられるべきものである。
また、遺伝子研究の自由を制限する規則8条を解釈するにあたって、規則制定経緯も考慮する。
(4)ア 遺伝子研究により生じる可能性がある人の生命身体の安全は確かに回復不可能な重要な利益といえる。しかし、生命身体の安全性が害される蓋然性がある場合にまで遺伝子研究を中止しなければならないとすると、上述の遺伝子研究の重要性を害する結果となる。そうだとすれば遺伝子研究の進行を妨げる規則8条の「重大な事態」は人の生命身体の危険性が明らかに差し迫っている場合に限定して解釈すべきである。
イ 遺伝子研究の2009年に国立大学医学部B教授らのグループによる遺伝子治療臨床研究において、被験者が一人死亡する事故が起きた。この事実を受けて、人の生命危険発生を防止するために規則8条は制定された。
ウ 上述の比較考量と規則制定経緯を考えれば、規則8条の「重大な事態」とは被験者の生命侵害の危険性が明らかに差し迫っている事態と限定して解釈すべきである。こう解釈する限り規則8条は必要かつ合理的な規制として23条に反しない。
(5)X教授のグループは、X教授を総括責任者とし、本指針が定める手続きに従って、本研究を実施することの承認を受け、本研究の被験者になることの同意につきCの同意を得ている。このように、本研究を実施するまでの過程において何の問題もなかった。そして、Cが重体に陥りCに対する本研究が続けられなくなったのは、本研究の過程で全く予測し得なかった問題が生じたからであり、このような予測不可能な自体は未知の分野についての研究には付きものといえる。何より、Cは重体の状態から回復しているのであるので、Cが死亡する可能性は著しく低い。したがって、Cの生命侵害の危険性が明らかに差し迫っているとはいえず、「重大な事態が生じたとき」に該当しない。
それにもかかわらず、「重大な事態」を必要以上に広く解釈し違憲的に適用してなされた医学部長による本件中止命令はXの遺伝子研究の自由を不当に制限し違憲、違法である。
2 大学側の主張
Y大学には大学の自治が認められているので、学部長には規則8条を適用するにあたって、広い要件裁量が与えられているので、「重大な事態」を広く解釈することができる。また、遺伝子研究は安全性という点で不十分な面があり、未知の部分も多く含まれている。何より人の生命身体の損害は回復不可能な性質を有するので、損害が発生してから対応するのでは遅すぎる。
以上のことからすれば、規則8条の「重大な事態」をX主張の通り限定解釈すれば、上記の損害の発生を防止することができないので、Xの主張は妥当でない。
3 私見
(1)確かに大学側主張のとおり、遺伝子研究の安全性という点、人の生命身体の安全という利益は十分に考慮されるべきである。しかしながら、政府は研究活動は研究者の自由な発想を重視して本来自由に行われるべきであることを考慮し罰則を伴った法律による規制という方式をとらなかったこと、2002年に文部科学省及び厚生労働省が共同して制裁規定を一切含まない本件指針を制定したこと、からすれば国は遺伝子治療の研究に携わる研究者の自主性を最大限尊重する態度をとっているといえる。このこととX主張の遺伝子研究の重要性を合わせ考えれば、「重大な事態」の解釈はX主張の通り限定して解釈するのが妥当である。
(2)Cは一度重体に陥いりその後回復している。しかしながら、重体に陥った原因は未だ解明されていないので、X教授の研究に人の生命侵害の危険性は存在しているといえる。X教授がこのまま研究を続ければ、他の被験者についてもC同様の事態が発生する可能性があるし、C以上の事態が生じる可能性も否定できない。
したがって、人の生命侵害の危険性が明らかに差し迫っているといえるので、「重大な事態」があるといえ、X主張のとおり、規則8条を合憲的に解釈したとしても、本件中止命令は適法である。
以上』
平成25年、デモ行進の不許可処分
『第1 デモ行進の不許可処分について
1 A側の主張
(1)B県公安委員会がAの第3回目の許可申請に対しなされた不許可処分(不許可処分①)は、違憲の疑いがあるB県集団運動に関する条例(以下条例①)3条4号を合憲限定解釈せずに違憲的に適用し、Aの道路でデモ行進する自由を不当に制限するので、憲法(以下略)21条1項に反し違憲・違法である。
(2)21条1項は「集会」の自由を保障している。そして、デモ行進は移動を伴う集会といえる。したがって、デモ行進の自由は集会の自由の一内容として21条1項によって保障されている。
(3)そして条例①3条4号は「B県住民投票に関する条例(以下条例②)第14条第1項第2号及び第3号に掲げる行為がなされることとなることが明らかであるとき」はB県知事はデモ行進の許可をしないことができるという規定であるので、道路でデモ行進をする自由を制限している。
(3)マスメディアが発達し表現の受け手と送り手が分離した現代では、一個人が社会に対してメッセージを発信する方法は限られている。このような現代社会において、デモ行進は一個人が社会に対してメッセージを発信する数少ない手段なので、憲法上重要な意義を有する。また、道路は誰でもが自由に表現の場として利用できるいわゆるパブリックフォーラムなので、上述のように表現手段が限定されている一個人にとって重要な表現の場所である。他方、道路でデモ行進を行えば、周囲の生活環境が害される危険がある。したがって、道路でデモ行進をする自由も必要かつ合理的な範囲で制限を受ける。
上記制限が必要かつ合理的なものとして許されるかどうかは、基本的には基本的自由としての道路でデモ行進をする自由の重要性と、当該他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して判断する。
したがって、条例①3条4号は、道路でデモ行進をする自由を保障することの重要性よりも、デモ行進がされることによって、周囲の生活環境が損なわれる危険を防止する必要性が優越する場合のみ不許可とすることが許される、と限定して解釈すべきである。
そうだとすれば、条例①3条4号の「明らかであるとき」が、明らかな差し迫った危険が具体的に予見されるとき、と限定して解釈される限りにおいて、条例①3条4号は合憲となる。
(4)Aら実行委員会は第1回目も第2回目のデモ行進も、デモ参加者に拡声器等を使用せず、ビラの類も配らずにゴミを捨てないように徹底させている。このように今までのデモ行進では何の問題も発生しなかったのだから、第3回目のデモ行進においても問題が発生する可能性は少ない。したがって、第3回目のデモ行進において、「平穏な生活環境を害する行為」(条例②14条1項2号)や「商業活動に支障を来す行為」(条例②14条1項3号)は明らかに差し迫って予見されるとはいえない。
したがって、Aの第三回目の申請は条例①3条4号の要件を満たさないにもかかわらず、不許可処分がなされている。
(5)以上より不許可処分①はB県公安委員会が合憲限定解釈をせずに違憲的に適用してなされたものであるので、21条1項に反し違憲・違法である。
2 B県の反論のポイント
道路でデモ行進する自由といえども絶対無制約のものではなく,公共の福祉による制限を受ける。そして、デモ行進は外部的行動を伴い周囲に害を与えるという性質を有しているので、そのような危険を防止するためには、過去の統計等を踏まえた行政の専門技術的判断が必要なので、B県公安委員会の裁量は広い。また、条例①3条に基づく不許可処分はデモ行進の内容に着目した規制ではなく、デモ行進という手段を規制するもので内容中立規制なので、デモ行進の自由に対する制限の程度は小さい。
したがって、条例①3条4号はAの主張のように限定して解釈すべきでない。
3 私見
(1)道路でデモ行進が行われることによって、「平穏な生活環境を害する」危険性、「商業活動に支障を来す」危険性があるかは、デモ行進の参加人数、道路の幅、周辺環境を考慮すれば容易に判断できるので、B県公安委員会の裁量を認める必要はない。したがって、B県の反論は妥当でない。
そして、Aが主張する通り道路でデモ行進する自由の重要である。加えて、本件デモ行進のような政治的なメッセージを含むものは民主的意思決定の形成過程において極めて重要な役割を果たす。
したがって、Aの主張のとおり、条例①3条4号は限定して解釈されるべきである。
(2)第2回目のデモ行進は交通渋滞を引き起こし,騒音被害や飲食店の売上減少を訴える苦情が県に寄せられているのでAらの企画した第3回のデモ行進においても同様の被害が発生する可能性が高い。第2回目のデモ行進では住民投票実施ということもあって参加者は2000人近くに達し、横断幕やプラカードを掲げる参加者もいたし、シュプレヒコールもあった。また、デモ行進が行われた道路で交通渋滞が発生したために、幹線道路に近接した閑静な住宅街の道路をう回路として使う車が増えた。第2回目のデモ行進終了後、市民や町内会からは、住宅街で交通事故が起きることへの不安や騒音被害を訴える苦情が県に寄せられている。第3回目のデモ行進は住民投票日が近づいているということもあり一層住民の関心が高まっているので、参加者の行動も過激化することが予想され、上記第2回目以上の弊害が生ずる蓋然性が高い。
したがって、第3回目のデモ行進において、「平穏な生活環境を害する行為」(条例②14条1項2号)や「商業活動に支障を来す行為」(条例②14条1項3号)は明らかに差し迫って予見されるといえる。
(3)以上より不許可処分①は条例①3条4号の要件を満たしてなされたものなので、適法である。
以上』
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